2023年3月30日

家を手放す時にも税金の支払いって必要なの?

住まいの買い替えや老朽化など様々な理由で家を手放す時に、意外と大きな出費と感じるのが「税金」です。家を購入する時にも払いますが、売却する時にも必要です。払う税金には2種類あり、「必ず必要な税金」「利益が出た時に必要な税金」があります。詳しく説明してしまうと専門用語だらけ、計算式が必要で何が何だか分からなくなってしまいますので、基礎部分を紹介していきたいと思います。詳しくは専門家の方と早めに相談してご自身の財産を守ってくださいね。

住居

必ず必要な税金

印紙代

不動産売買契約書には、契約金額に応じた収入印紙を貼付します。
売主と買主が1通ずつ売買契約書を所有するためには、それぞれが印紙代を負担することが一般的です。
平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書については、下表のとおり軽減措置が適用されます。
売却価格が500万円~1億円程度の一般的な土地やマンションなどであれば、5千円~3万円の印紙税がかかると考えておけばいいでしょう。

契約金額本則税率軽減税率
500万~1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万~5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万~1億円以下60,000円30,000円
1億円~5億円以下100,000円60,000円

登録免許税

不動産の所有者は法務省法務局の登記簿で管理されています。登記簿の所有者を変更(名義変更)するために必要な費用で、登記の種類によって税率は異なります。2024年の3月31日までは「固定資産税評価額」×1.5%の軽減税率が適用され、本則は2%となります。

仲介手数料にかかる消費税

不動産会社を通して不動産を売却する場合は、その際に仲介手数料と、仲介手数料に対して消費税がかかります。

仲介手数料(売買価格400万円以上の場合)にかかる消費税の計算式 
(売却額×3%+6万円)×10%

利益が出た時に必要な税金

不動産を売却して得た利益は、「譲渡所得」といいます。
そして、他の所得と同じように、譲渡所得に対して、住民税と所得税がそれぞれ課せられます。

住民税:所得に応じて「自治体」に支払う税金
所得税:所得に応じて「国」に支払う税金

不動産の売却時に利益が出た際のみに必要な税金です。利益が出なかった場合は払う必要はありません。利益が出た時に必要な税金なだけあって、内容も難しく高額になってきます。

住民税

不動産の売却益に対する所得税と住民税を支払う場合は、売却した翌年に支払います。
譲渡する建物や土地の所有期間によって税率が異なり、5年を越えている場合は「長期譲渡所得」となり5%、5年以下の場合は9%と少し税率が上がります。

譲渡所得税

譲渡所得は下記の計算方法から算出する事が出来ます。不動産の利益から売却にかかった費用を差し引いた金額がこれにあたります。
譲渡所得=譲渡価格(売却額+固定資産税清算金)-取得費(購入した金額)-譲渡費用(仲介手数料など売却にかけた費用)

不動産売却で知っておきたい税金控除・特例

不動産売却で利益(譲渡所得)を得た場合は、一定の条件を満たすことにより、税金を減らすことにつながる控除や特例を利用することができます。

居住用不動産(マイホーム)売却時の3,000万円特別控除

自宅として利用していた居住用不動産(マイホーム)を売却した場合、その際に発生した譲渡所得が最高3,000万円まで非課税になる控除が受けられます。
控除を受ける要件は、売主の居住用の不動産であること、譲渡先が配偶者・直系血族・同族会社ではないこと、前年や前々年にこの控除を使っていないことなどです。売却時に住んでいない物件だったとしても、居住しなくなってから3年を経過する日の属する年の年末までであれば、この特例が使えます。

10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例は、居住用財産の定義を満たした上で、不動産を売却した年の1月1日時点で土地と建物の所有期間が共に”10年超だった場合”に適用を受けられる特例です。本特例の適用を受けられると、課税譲渡所得6,000万円まで税金を14.21%(所得税10.21%、住民税4%)とすることができます。

特定の居住用財産の買換え特例

特定の居住用財産の買換え特例は、居住用財産の定義を満たした上で、新しくマイホーム(建物50平米以上、土地500平米以下)を購入したときに受けられる特例で、売却する不動産の所有期間が売却した年の1月1日時点で10年超、居住期間が通算10年以上である必要があります。
本特例の適用を受けると、売却価格のうち、新しくマイホームを購入した価格と同額部分の課税が繰り延べられます。つまり、3,000万円で売却して、4,000万円のマイホームを購入したときは、売却時の譲渡所得税は繰り延べられるため、税額は0円となります。ただし、上手に使えば大きなメリットが得られますが、あくまでも次回に課税が繰り延べられるだけのため、よく考えて利用する必要があります。

譲渡損失の損益通算

マイホームの買い替えのための売却で損失が発生した場合は、損失を他の所得から引くことができます。これを損益通算と言います。損益通算とは、物件売却による損失を給与や事業所得など他の所得から控除することです。その結果、所得総額が低くなり、税金が安くなります。

譲渡損失の繰越控除

損益通算で損失を控除しきれなかった場合は、その分を3年間にわたって繰り越すことができます。これを、譲渡損失の繰越控除といいます。

「譲渡損失の損益通算」「譲渡損失の繰越控除」の制度を使うための条件は、居住用の不動産であること、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること、売却した年の12月31日時点で、新たに購入したマイホームの住宅ローンが10年以上残っていること、などがあります。詳しくは:国税庁のホームページを参照してください。

住居

まとめ

家を売る時の税金について基礎的な事項をご紹介しました。
税制は非常に複雑で、日々変化しています。住居の買い替えを検討されている方はよく専門の方と相談してください。費用がもったいないからとご自身で計算して、後々損をするという事は避けて頂きたいです。

しっかりと税金の内容を学んで損なく不動産売買をおこいましょう。